【IAESTE】ポルトガルでのインターンシップ記録を振り返る

【IAESTE】ポルトガルでのインターンシップ記録を振り返る

今日は、自分が以前に書いた文章・作った資料を読み返していました。

昔書いた文を読み返すと、自分の当時の考えを改めて振り返ることで、新たな気づきがあって良い感じです。たとえば、「この部分は昔と今では考え方が大分変わってきているな」とか、「この考え方はしばらく意識していなかったけど、今後も大切にしたいな」など、次のアクションに繋がる気付きもあります。この点、自分の考えを文章でアウトプットしておくことの大きなメリットの一つではないでしょうか。

今日読み返したのは、7年ほど前にまだ僕が大学院生だった頃、ポルトガルにインターンシップ留学した際の記録です。IAESTEという組織にお世話になり、3ヶ月の間、人生観を変えるような経験をさせて頂きました。

思えば当初、「IAESTEの海外インターンシップをもっと日本に広めたい!」という思いがあったのですが、まだ形にできていませんでした。そこで、今回の記事では、IAESTEについて、僕がポルトガルでの海外インターンシップで経験したこと、海外インターンシップを経験して良かったと思うことなどについて書こうと思います。

「学生で海外留学を検討している。ただの語学研修ではなくて、せっかくなので専門知識を生かした留学がしたいのだけど、どこかオススメはないかなぁ。IAESTEって聞いたけど、評判はどうなのだろう。」

主にこんな方向けに書いています。


IAESTEって?

リスボンの街並み

主に理系学生の海外インターンシップを推進している国際的な非営利組織です。

IAESTE (イアエステ The International Association for the Exchange of Students for Technical Experience) は、理系全般を専攻する学生の海外有給インターンシップを推進している非営利・非政府組織です。

1948年1月にイギリスで設立され設立されて以来、累計35万人以上のインターンシップ生を輩出し、世界80カ国以上に支部を持つ世界最大級のインターンシップ斡旋組織となりました。日本支部は1964年にIAESTEに加盟後、のべ5000人以上の理系学生を世界中相互に交換してきました。

世界規模での技術的発展、国際理解と親善を促進すべく、質の高い実践的な有給海外インターンシッププログラムを提供しております。

毎年、5〜7月に説明会、11月上旬頃に選考会が行われます。有給インターンシップとして海外派遣されるため、現地での滞在費用は原則として受入先が負担してくれること、また理系学生として専門性を生かした海外滞在ができること、が主な特徴です。受入先は学生のオファーになるべく会う受入先からのオファーとマッチングする形で行われます。

>>IAESTE JAPAN – 海外インターンシップのイアエステ

ポルトガルでの経験

リスボンの街並み

僕はIAESTEの選考をなんとか通ることができ、第2希望だったポルトガルの大学研究室の補佐役としてインターンシップ留学しました。期間は約3ヶ月間でした。

比較的小さな頃から、海外で暮らす・働くことが夢であった僕にとって、その3ヶ月間は忘れられない時間となりました。特に印象的・良い経験だったことを書きたいと思います。

ワークアズライフ

リスボンの街並み

当初まだ学生で、それまでアルバイトはしていたものの、大学の外で長期間の勤務かつ自分なりのアウトプットを求められるのはほとんど初めての経験でした。

まだ働くことに慣れていない状態で、初めての勤務先が海外の大学研究室だったので、現地に行くまでは何度も本気で行くのをキャンセルしようかと思ったくらい緊張していたのを覚えています。

でも行ってみると、受入先であった大学の研究室・事務室は、今考えても働く場としてとても良い環境でした。普段の業務は大学の事務室で、ある研究室の研究の補佐をしていたのですが、日本にとても関心を持ってくれて色々情報交換をしたり、逆にポルトガルのトレンドや関心事について色々教えて頂きました。

毎日、仕事仲間同士でランチ、3回ほどのコーヒーブレイク(現地の人たちはコーヒーブレイクが大好き!)に一緒に行き、色々と話すのが楽しみでした。

仕事仲間同士での研究室訪問や意見交換など、分野を超えた意見交換が楽しく、また現地ではとても盛んに思いました。「睡眠以外の時間全てが、仕事であり趣味であるという概念」、今よく言われる「ワークアズライフ」に近い環境があったように思います。

仕事の同僚が友人に

リスボンの街並み

仕事仲間同士での連携が強く、一緒にまちへ観光に行ったり、夜飲みに行ったり、食事へ行ったりしました。

仕事と関係のないプライベートな話題で相談を受けたり、相談をしたり、その関係は友人のようで、仕事上での関係で終わらないところがヨーロッパらしく感じました。

同じマンションメイトも仲間に

リスボンの街並み

住んでいたアパートは、各国からIAESTE他の海外インターンシップを受けている学生が集まるフラットだったのですが、ポルトガル人の他スイスやボスニア、ポーランド、ブラジルなど多国籍が集まっていました。

食堂やシャワー室が共有スペースとなっていて、仕事が終わるとほぼ毎日同じフラットのメンバーとお酒を飲んで外へ出かけていました。さらに週末はほぼ毎週、彼らと旅行に行く計画を立て、出かけていました。

同じアパートに住むメンバーとこれだけ仲良くなったのは、シェアハウスのような家の構造だったことも大きいと思いますが、ヨーロッパではいたって普通のことのようでした。

さらに家族や恋人の話など本当にプライベートなことから、仕事の内容、文化の違い、政治や歴史、最新技術、趣味や関心事など、本当に何でも包み隠さず話すし議論の対象になるので、同年代の多国籍なメンバーの考えていることを知ることができたのが大きな収穫でした。

友人の友人も友人に

ポルトの街並み

「友人の友人」と会う機会もとても多かったです。というのも、ヨーロッパの人たちの間では、日本よりも友人を紹介する文化が盛ん。

僕も、

・同じアパートにいる仲間の友人がポルトガルに来た時に一緒に出かけたり、

・ポルトガル人の友人宅を訪問してご家族と会わせて頂いたり、

・友人の友人がプール付き豪邸で開いたパーティに参加させてもらったり、

・アパートの仲間が彼らの国へ帰ってしまった後で彼らの故郷を訪問したり、

とにかく「友人の友人」が「友人」になることでどんどんネットワークが広がっていく感覚がありました。

偶然居合わせた人まで友人に

サグレスの音楽祭

さらに、普通に生活していると知りえなかったはずの人と繋がる機会にも恵まれました。

ヨーロッパでは「経験をシェアする文化」が盛んで、

・旅行先までの移動手段としてカーシェアリングが盛んであったり、

・飲みに行くと近くの人たちと盛り上がったり、

・フットボールの試合を見に行くと近い席の人同士で色々話したり、

とにかく日本と比べて知り合いを増やすチャンスが日常生活に溢れているように感じました。

そういったチャンスで知り合った方とお話できたのも、とても良い経験でした。

IAESTEで海外インターンシップして良かったと思う点

IAESTEで海外インターンシップを経て、自らの人生観を変えるような良い経験であったことは間違いありません。

具体的に、自らのキャリア・人生の上で、どのようなポジティブな影響があったかについて書いてみます。

語学力の向上

フランシジーニャ

語学力の向上という意味では、「自分は外国の人たちと英語で交流できる」という自信になったことが一番大きかったように感じます。

現地に行くまでも、海外旅行先や日本での語学教室で、英語で話す機会はあったのですが、ヨーロッパで英語を日常的に使う・触れる機会を持つ人たちと色々話す場に恵まれたのは、やはり何よりの自信になりました。

現地では、英語を話すことが当たり前(人によっては4、5ヶ国語喋れる人も普通にいる)な中で、流暢に喋れなければ意思疎通が難しいかというと、逆に語学力がない人と接する機会も多いのか、ヨーロッパ諸国の方達は語学力には寛容に感じました。

ただ「語彙力」「文法力」といった、話す上で前提となる知識については、正直なところ英語を話すだけではダメで、自助努力が必要に感じました。

また「イントネーション」「言い回し」などは、ヨーロッパの人たちもネイティブでなければブロークンな英語で喋っている場合が多いので、やはり英語をネイティブに話す人たちから教わる必要があると感じました。僕の場合、イギリスから来たメンバーが一人いましたが、彼と話すとやはり勉強になるので、いつか語学力をあげる意味でもイギリスかアメリカに住んでみたいなと思いました。

専門性(技術力)の向上

プロジェクト模型

先ほども書いたように、IAESTEは理系学生中心の海外インターンシップを推進する組織です。そのため、自身の専門性を生かした業務体験ができます。

この点、ただの語学留学とは異なる点であり、また学生の間ならではの経験と思います。

海外の大学で最先端の研究に触れることができるのは、海外での研究がどのように行われているかの肌感覚を掴むことができる点で大きいと感じました。

海外経験が自信となる

ロカ岬

ラッキーなことに、受入先でもアパートでも日本人は僕一人だけだったので、とにかく日本の生活からは離れた生活を強いられました。

日本語を使うのはたまに家族に連絡するときとフェイスブック上でもらったコメントに返信する時、たまに友人と話すくらいで、ほとんどの会話は英語付けでした。

周りからは日本代表として見られる感覚があり、日本の文化や歴史、日本から見た政治や国際情勢については本当によく聞かれました。

以下は当初聞かれた内容について、当時残したメモの一部です。

・「日本の先端技術について教えてくれ」→電気自動車について話しました

・「日本人は皆、君のように丁寧なのか?」→和を尊重する文化なので丁寧な人が多いと答えました

・「日本の有名な映画について」→ジブリとアニメ文化について話しました

・「日本については侍とアニメと武術くらいしか知らない。もっと教えてくれ」→日本の歴史や伝統を話そうと試みました

・「日本の天皇制と自衛隊は他の国とどう違うのか」→天皇の役割、自衛隊の役割や近年の志願者の状況などを話しました

・「日本での食事について僕の知らないものを教えてくれ」→味噌汁、すし、梅ぼし、酒、ラーメンなど。日本食レストランへも皆で行きました。

・「日本人の宗教観について教えてくれ」→多くは仏教徒だが、形だけの人がほとんど。無宗教だとも。他はキリスト教徒などが若干。

・「日本のオタク文化について教えてくれ」→コスプレ、アニメ、秋葉原など。

・「日本の財政状況について教えてくれ」→物価が上がっている。円高(当初)。

・「日本人の人間性は」→和を重んじる、自らの意見を強く言わない人が多い、など。

・「日本人から見た9.11について」→答えようとするも、答えられず。

・「日本人の時間管理の厳しさ・ハードワークについて」→電車の時間管理、仕事時間の長さ、遅刻する場合の対処など。

・「ポルトガルについて、日本人から見た印象は?」→沢木耕太郎の「深夜特急」という書籍で描かれるポルトガルに関する話、TVでリスボンやポルトはよく魅力ある町として紹介されていること、ポルトガルに関する旅行雑誌も本屋に多くあること等。

とにかく意見交換が盛んで、色々と聞かれました。逆にこちらからもヨーロッパの文化について色々学びました。

とにかく皆ポジティブ

リスボンのポジティブな人

ヨーロッパの方達は、あまり過去を振り返らず、今を楽しんでいる感じがありました。ポルトガルの人たちも、自国の財政危機については嘆きながらも、ポルトガルの国が大好きなようでしたし、皆自分の生き方に自信を持っているように見えました。

人見知りをせず、新しい人脈を作るのに長けていて、また幅広い分野への関心・知識が深くあるように思いました。

視野が広がる

ポルトワイン

皆幅広い分野に関して深い関心を持っているので、それだけ幅広い知識に触れる機会が多いように感じました。個人的にも、自らの専門分野外で研究している方と接する機会があり、また現地の最新動向について触れる機会に恵まれました。

また、現地にいる友人が増え、未だにたまに連絡をとっている友人もいます。先日もヨーロッパ行った際に、スイス人の友人が仕事の同僚との自宅パーティに呼んでくれました。その場も、初めて会った方たち(彼らは貧困国向けのトイレを研究・開発しているグループでした)と色々話す機会になりました。

今回の記事は以上となります。

専門性を生かした海外インターンシップができるのは、学生の特権とも言えると思います。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。