【板門店】金正恩委員長と文在寅大統領が徒歩で渡った軍事国境線とは

【板門店】金正恩委員長と文在寅大統領が徒歩で渡った軍事国境線とは

北朝鮮と韓国の両国首脳が徒歩で軍事国境線を渡ったとニュースでやっているけど、周りの雰囲気はどのような場所なのだろう。普段の現地の様子も気になるけど、情報が中々載っていないなぁ。実際に行くことはできるのかな。

こんな質問に答えます。


本記事の内容

昨日の2018年4月27日、北朝鮮と韓国の南北首脳会談が実現しました。

僕は生で首脳会談の冒頭部分をテレビで見ましたが、まさに歴史的瞬間に立ち会った、という印象を受けました。

両国首脳が手を携えて軍事国境線を渡ったこと、北朝鮮のトップが肉声を世界中に向けて放映したこと、ウィットに富んだ会話を展開したこと、終戦に向けた互いの意思確認をしたこと、どれをとっても初めてのことであり、僕にとっては予想外のことでした。

今までは、北朝鮮は情報隠蔽の国であり、トップの金正恩委員長は何を考えているかわからない人物だという印象がありましたが、韓国の文在寅大統領と笑顔で団らんする彼の素顔は、普通の現代の若者のように映りました。

>歴史的な南北首脳会談の様子はこちら

このニュースを見た方の中に、金正恩委員長と文在寅大統領が握手を交わした板門店がどこにあるのか、関心を持った方がいらっしゃると思います。

僕は2012年2月に現地をツアーで訪れており、ニュースを見ながら当時のツアー時の様子等を思い出していました。

そうした背景から、本記事では板門店について、ツアーに参加した時の雰囲気から、どのような場所なのかを伝えたいと思います。

板門店とは?どこにあるの?

板門店に向かう道途中の様子

板門店(読み方…パンムンジョム、はんもんてん)は、ソウルからは北西へ約52km離れた、南北を分かつ軍事国境線上に位置しています。

1953年に朝鮮戦争の停戦協定がここ板門店で結ばれた、その後は停戦協定が遵守されていることの監視が行なわれています。そのため、南北分断の象徴的存在となっています。

個人では立ち入れないようになっており、ツアーでのみ入域が可能です。また入域は国籍によっても制限されており、通常韓国人は訪れることができない場所とされています。

板門店ツアーについて

ソウル発で板門店を訪れるツアーは、JTBツアーで日帰り・一人85000KRW(約8500円)となっています。

>板門店(JSA)観光ツアー

臨津閣

臨津閣の望拝壇

僕が参加したツアーでは、まず臨津閣という場所へ行きました。望拝壇という、南北に切り裂かれた家族たちの想いが綴られた場所があります。ここまでは一般の方でも行くことができ、韓国の方々もここで祈りを捧げたのだと思われます。

板門店 軍事国境線

板門店

臨津閣の後は、板門店へ。金正恩委員長と文在寅大統領が昨日徒歩で国境を渡った場所です。

上の写真はツアーで撮ったもので、手前側が韓国兵、写真左上には奥側に立つ北朝鮮兵の姿も見えます。

現場はかなりピリピリとした様子で、ツアー気分で参加していると冗談ではなくどこかから射撃されるのではないかという緊張感でした。

手前の韓国兵が青い建物に半分隠れているのは、いざ北朝鮮側が攻撃してきた際に、すぐ建物の陰に身をひそめられるようにとのこと。ずっと見ていても微動だにしませんでした。他にも沢山の韓国兵が常時待機していました。

建物の中間あたりにあるちょっとした段差が、韓国と北朝鮮を分かつ軍事国境となっているようで、この線を一歩でも越えると冗談ではなく撃たれますと、ツアーアテンダントの方に忠告を受けた覚えがあります。金正恩委員長と文在寅大統領も、手を携えてこの段差を越えていましたよね。

板門店 建物内

青い建物内にも入ることができ、建物の中でのみ軍事国境を超えて北朝鮮側へ入ることが許されました。

何か起きないかビクビクしながら、それでも北朝鮮のことをより深く知りたいと思い、ほんの数分の間ですが北朝鮮へ足を踏み入れた覚えがあります。

建物の中、というよりこの辺りの地域全体が静まり返っていて、何か聞き耳を立てられているような、変なことは迂闊に言えないような雰囲気が漂っていました。

帰らざる橋

帰らざる橋帰りには、朝鮮戦争の停戦後に捕虜交換が行われた場所という「帰らざる橋」も車内から見学しました。

帰らざる橋の名は、捕虜たちがこの橋で北へ行くか南へ行くかを選択し、その後は二度とこの橋を渡って戻ることが出来なかったことに由来するのだそうです。何とも悲しいエピソード。

現地へ行くと、昔その場で選択を迫られた人たちの姿が浮かんでくるようで、複雑な思いで現場を後にしました。

あとがき

以前板門店を訪れてみて、普段の現地はピリピリとした雰囲気で、昔南北分断された時の人々の悲しい想いが何となく漂っているような、そんな場所でした。

ただ、現地へ行って自分の目で見て、本当によかったと思っています。北朝鮮の動向を批判したり、トップ層に目を向けるだけではなくて、今も韓国・そして北朝鮮の国内で暮らしている一般の方々がいらっしゃることに想いを馳せることが大事と考えています。そのためには現場の状況を自分の目で見てくることはとても良い経験となりました。

今回の南北首脳会談で、「南北の争いに終止符をつけに来た」と北朝鮮トップが語ったこと、間違いなく歴史的な瞬間で、今までの北朝鮮からは考えられない進歩だと思います。

文在寅大統領が、「金正恩氏が軍事境界線を越えた瞬間、板門店が平和の象徴になった」と会談で言っていたように、現場に漂う人々の悲しい想い・雰囲気が、今回の会談で払拭され、良い方向に進めば良いと願っています。

あとは実行力が伴うか。いつか板門店の軍事国境線を越えて、北朝鮮側へ入国できるようになる日が来ますように。

将来、北朝鮮に住む人々の日常に触れる機会があることを楽しみにしています。